ドワンゴ CTO ・坂井薫平さん、ニコニコ第三開発部 部長・西岡優作さんに聞く!「エンジニアのキャリアと仕事のリアルQ&A」講演会
KADOKAWAドワンゴ情報工科学院では、プロフェッショナルによる講演会を積極的に実施しています。
12月上旬、当校の教育顧問も務める株式会社ドワンゴ CTO 兼 技術本部 本部長・坂井薫平さん、同社の技術本部 ニコニコ第三開発部 部長 兼 同本部 モバイル開発部 部長・西岡優作さんをお招きした在校生向けの講演会を東京校にて開催しました。
当日の様子は名古屋・大阪・福岡の各校舎向けにもオンラインで配信されています。
インタビュアーを務めるのは KADOKAWAドワンゴ情報工科学院の森本恭平講師。
坂井さん「3年半ほどフリーランスエンジニアとして活動していました。その後、ドワンゴ、DeNAに2年ほど勤めてGoogleへ転職。2020年頃から再びドワンゴで働いています」
西岡さん「中途で入社し、ドワンゴ歴は20年ほどになります。ニコニコ動画、社内管理ツールをはじめ、『ニコニコチャンネル』などのシステム開発・立ち上げに参画しました」とご挨拶。在校生からの質問に答える形で進行していきます。
【1. エンジニアのキャリアについて】
―― IT業界の最新動向をふまえて、学生のうちに習得しておくべき技術は何でしょうか?AIが浸透しているという点もふまえてお聞かせください。
坂井さん「昨今のAI隆盛は著しいですが、エンジニアには普遍的な能力・価値があります。ソフトウェア開発では、自身が想定しない本質的課題が見つかることがあります。『そもそも機能自体が不要なのでは?』など、単なるエラー対応を超えた提案が求められることは少なくありません。ぜひ、AI を使いこなすための高次元の視座を持ってください。AI を適切に活用しつつも、”本質的により高次元の解決策が必要なのではないか”と自ら問いを立てる役目は、依然として人間が担うべきことだと思います。
(AIの得意とする)コードをただ書いたり、オペレーションをするといった作業だけでなく、是非『技術領域における本質的な価値の追求』を意識してみてください。」
西岡さん「AIが嘘をつくことがありますので、正しいか・正しくないかを判断できる能力は必要です。システムのトーン&マナーの判断は、システムを担当している人間が見ないとわかりません」
――現場で活躍する「本当のエンジニアの仕事」とは、どのようなものでしょうか?
坂井さん「実際のソフトウェア開発では、営業、企画、デザイナーなど、エンジニア以外の複数の職種の方々とも関わりが生じます。
チームワークを大切に、多種多様な人と協調しながら、大きな成果に結びつけようとする姿勢が求められます」
――キャリアのターニングポイントがありましたら教えてください。また、何を考えて決断されましたか?
坂井さん「ポジションが変わるタイミングが、ターニングポイントだと思います。自分が重視してきたのは、そのポジションで具体的に貢献できるイメージを持てるかどうか。自分は“勝ち戦”を好むタイプですが、過酷な経験に身を置くことで成長を遂げる人もいます」
西岡さん「仕事の向き合い方で意識していることは2つ。上司に頼まれたら断らないこと、上司の仕事を取りに行くこと。それなりに負荷をかけることで成長につながります。昭和のソルジャー的考え方を持っている人もいるよ、ということを伝えたいです(笑)」
また、失敗したときの対処法として、坂井さんは「冷静でいることは大事だなと感じました。ピンチのタイミングで混乱して頭が回らないと重大な仕事を任せるのは難しいです。どんな職業でもトラブルは一定起きると思います。冷静でいられることは重要なスキルだと思いますし、一歩引いて俯瞰的な視点を持つことが重要です」とアドバイス。
【2. ドワンゴとはどのような企業?求める人物像「自走する人」とは?】
ドワンゴの特長として、「ものづくりが好き」、「多様性を受け入れる」、「自由・裁量と責任」を挙げます。
西岡さん「一言でいうと、ものづくりが好きな人が集まっています。エンジニアは裁量労働制で、自分で勤務時間を調整しています。また、兼業・副業も可能です。新しくプロダクトを作ろうとなったとき、現場のエンジニアに一任されています。自由度が高いですが、その分成果を出すことは求められます。個人主義ではなく全体最適を考えられると良いと思います」
坂井さん「優秀なエンジニアを募集しています。KADOKAWAのエンタメ領域に強い共感を持つ仲間を歓迎します!」
――採用情報で、募集人材として「自走できる人」と書かれていました。
エンジニアの「自走能力」とはどのようなものでしょうか?
坂井さん「とても良い質問ですね!主体性を持って職務に臨むということだと思います。実際の現場では、上流工程であるほど『こういうシステム作ってください』というような、ふわっとした状態から始まります。細かく指示を受けて動くというよりも、抽象度が高いところからドリルダウンできて考えられる人、正しいか確認しながら行動できる人と、一緒に働きたいなと思います」
【3. チーム制作におけるリーダーの役割とは?】
――チーム制作でリーダーをしています。必要な能力や考え方は?
西岡さん「プロジェクトを推進し、推進力を持つこと、そしてチームの能力を最大化でき、ゴールまで持っていけることです。問題が発生したときに、解決するように積極的に動くことも大切だと思います」
坂井さん「もしも自分がメンバーだったらリーダーになにをして欲しいかで考えるとよいと思います。人を主導することに正解はありません。ありとあらゆる手段を講じて、結果にコミットする覚悟、という考え方が大事かもしれません」
――チーム制作で、プロジェクトマネージャーを務めています。クライアントさんが技術的に明るくないのですが、どのように理解を得れば良いのでしょうか。
坂井さん「『依頼したものはこういうものではない』ということが起こらないように、事前にクライアントと『要件定義』をし、合意形成をします。まず、何を作るか、あるいは作らないかを固めます。クライアントに求められているものを、チームを使ってお渡しするまでが、PMのゴールだと思います」
――IT業界は進化が早いと思います。最新情報はどこから得ますか?
西岡さん「社内のSlackをのぞくと、感度の高い人が技術的トピックをシェアしてくれます」
坂井さん「SNSはバカになりません。優秀なエンジニアをXでフォローしていると自然とキャッチアップできます」と、一つひとつの質問に丁寧にわかりやすく答えてくださいました。
在校生からは、「ドワンゴさんで、どのように活躍できるかを知ることができました。お話をうかがえて良かったです」といった声があがりました!
最前線で活躍するプロフェッショナルから、業界トレンドや視点をいち早く学べるのも、KADOKAWAドワンゴ情報工科学院で学ぶメリットです。
坂井さん、西岡さん、お忙しいところありがとうございました。
【参考資料】
X: Dwango_tech
dwango.github.io/articles/
【PROFILE】
坂井薫平
株式会社ドワンゴ CTO 兼 技術本部 本部長。
フリーランスエンジニアを経てドワンゴ入社。N高・N予備校を含む複数事業の立ち上げに携わりDeNAに転職。モバイルゲームの共通基盤開発・運用やアーキテクチャ刷新を推進。その後Googleに転職し複数のソフトウェア開発および技術支援業務に従事。2020年にドワンゴへ復帰し、ニコニコの配信などを含む複数の基盤の刷新、ニコニコ全体のAWS移行を主導する。2025年1月より技術本部 本部長、同年9月にドワンゴCTOに就任。
西岡優作
株式会社ドワンゴ 技術本部 ニコニコ第三開発部 部長 兼 同本部 モバイル開発部 部長。
小規模SIerを経て2007年ドワンゴ入社。「ニコニコ動画」社内向け管理ツール開発から、「ニコニコチャンネル」等のシステム構築・立ち上げに従事。現在は、「ニコニコ大百科」、「ニコニコ広告」等のニコニコ系サービスや、音楽配信サービス「ドワンゴジェイピー」の開発部門にて部長職を兼務。開発組織を統括する傍ら、新卒採用・研修やTechカンファレンス運営にも携わる。